2008年7月28日月曜日

爆走するシンガポール


私がシンガポールに駐在していたのは2002年から2004年頃だったが、そのシンガポールが最近すごいことになっているらしい。私がいた頃から東南アジアきっての金満国家だったが最近は度を越している。
政府系ファンドのテマセク・ホールディングスがメリルリンチに多額の投資をして話題になったが、テマセクが株を売却する動きを見せるとNY市場の株価が一気に下落するほど、いまや世界経済を左右するまでになってしまった。元々、国土も狭く第1次産業などは皆無のこの華人国家は、外国企業に対して優遇税制をもって積極的に誘致し、対中貿易への窓口としてアジアの一大金融センターを目指してきたのだが、すでにその計画は充分な成功を収めているようだ。

最近のイケイケぶりは、シンガポール航空が550人乗りのエアバスA380をいの一番に発注就航させ、それにあわせてチャンギ空港の第3ターミナルを作ったことに端を発し、国禁だったギャンブルを認可しラスベガスのカジノをマリーナベイに誘致、さらにはセントーサ島に大阪よりでかいユニバーサルスタジオを建造することを発表したりで景気のいい話は枚挙に暇が無い。
なかでも9月26~28日に開催されるF1グランプリは世界初のナイターによる公道レース。あの光あふれる高層ビル群の真っ只中をF1マシンが轟音を上げ走り回る、想像するだけでも美しくも迫力に満ちた幻想的な光景が浮かび上がってくるではないか!

しかしながら、金の無いやつは相手にしないといわんばかりのバブルにも似た拝金至上主義は物価を吊り上げ、土地の高騰という副産物も同時に生み出し、知人の日系企業などは度重なる家賃の値上げに悲鳴を上げていた。しかもこのところの原油高騰やサブプライムローンによる米国の経済不安などがさしものシンガポール経済にも暗い影を投げかけだした。と、思いきやリー・クワンユー上級相は「われわれは困難を乗り越え続ける」と発言し、危機に直面すればもっと儲けていくしかないじゃないかと、まったくブレが無い。
まあ、ここまでくると好きにしてくれと半ばあきれてしまうが、日本はすでに金融競争力で後塵を拝してしまっていることを認識する必要があるし、シンガポールの政・官・民一体となった国家ビジネスモデルを参考にする必要があるだろう。もはや東南アジアが日本に学んだルックイーストの時代は遠い過去のことだ。

それにしても9月28日のF1の決勝は是非とも現地観戦したい。ただホテル料金はすでにすごく高騰していて旅行会社のツアーはマレーシア国境のジョホールバルあたりのホテルを使うらしいし、ツアー料金も3泊4日で30万近くかかってしまうようだ。燃料サーチャージも馬鹿にならないはずだ。悪いことに同時期にシンガポールビエンナーレなどのイベントもあって中心部のホテルの確保は一段と難しくなっている。
コースを見ると超高級ホテルのフラートンのバルコニーあたりが絶好のビューポイントになると思うが、いったいいくらくらいの金額になるのか考えるだに恐ろしい(っていうか、そんな部屋は一般客には開放しないだろう)。
なんとか駐在時代のコネで安く滞在できないかと思案しているのだが。