2009年5月23日土曜日

羽田から松山へ、と言っても国際線の話


先日、アジア関連の出版を手がけている知人から、台湾の松山空港が日本便の発着空港となって、現在の桃園国際空港は大陸からの便のハブ空港と変わるというような話を聞いた。

松山空港と言えば日本軍の撤退後、軍民共用の飛行場として79年に中正国際空港(現在の桃園国際空港)が開港するまでは国を代表する主要空港だった。一昔前に台湾旅行に行ったオジサンたちにはここが空の玄関だったので、私がはじめて台湾に出張に行ったとき先輩から「昔は松山空港だったよ」なんて思い出話を聞かされたものだ。戦争直後にはソ連に渡ろうとしたインド独立の指導者チャンドラ・ボースが墜死した歴史的な場所でもある。

松山空港はその後、国内便の専用空港として市内のど真ん中という地の利を生かし、長距離バスのような感覚で本当に台湾の人達の「足」となっていた。
ところが一昨年の新幹線の開業でドル箱だった台北ー高尾便はすたれ、中堅の航空会社だった遠東航空も倒産するほどに閑古鳥が鳴いていた。これを86年の大陸との経済交流協議「三通」でチャーター便の受け入れを決めて以来、大陸との窓口でなんとか活路を開いていたのである。

そこへもって冒頭の情報なので、その真偽のほどを確かめてみたのだが、日本便専用とは言えないまでも確かに馬英九総統が昨年来、日本に対して羽田―台北・松山のチャーター便の開通要請を再三行っていて、羽田の拡張工事が終わる2010年めどに中華、エバー、日航、全日空の4社が一日1便往復させるところまで合意にこぎつけたようだ。

思ったように伸びない大陸からの観光客に比べ、なんといっても日本人の観光客は最大の顧客である。市内直結の松山空港なら絶対ドル箱路線になることは間違いない。私の常宿にしている慶泰大飯店や華国大飯店なんかは歩いていけるような距離で、めちゃくちゃ便利になるぜ、こりゃ。
大陸に対しても国内便空港の松山より桃園へ移管するということなら面子も立てられ、上海の浦東国際空港や香港国際空港との物流もいっそう活発化するだろう。まさに一石二鳥も三鳥もあるいいことづくめの妙案ではある。

が、しかし、問題がないわけではない。
確かこの空港は市内にあるその立地ゆえ騒音問題が非常にうるさく、B757、A320といったナローボディの中型機に限るといった制限があったはずだ。これに該当するのはANAの国内便で使用しているA320、日航でいえばMD90を使用するしかなくなる。いずれにせよ150~180人くらいのキャパしかない。人気の路線だけにジャンボを飛ばせないのはいかにもつらい。よしんば民意を度外視して無理やり飛ばしたところで101階建ての台北101や台北駅前にそびえる新光ビルのような高層ビルも障害となってくるかもしれない。
なんていったって中華航空は先進国の事故率No1の実績?を誇っているからなあw

台湾人得意の軽いタッチで"没関係 没問題”で見切り発車されてもことは安全にかかわることだけに、便利になるのは結構だがこの辺の問題はあくまで慎重に検討に検討を重ねてもらいたいものだ。